銀花翠葉

アニメの感想ブログです(更新は終了しました)

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【追記】ここさけ①



言葉で人を傷つけてしまった少女は、
二度とお喋りができないように
言葉を封印されてしまいました。 



幼い頃、何気なく発した言葉によって、
家族がバラバラになってしまった少女・成瀬順。



(公式サイトから)



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「ここさけ」の発端のストーリーは
今さら紹介するまでもなく次のようなもの

山の上のラブホテルを素敵なお城だと思いこんでいた幼いころの順
ある日、父親が知らない女の人と「お城」から出てくるところを目撃し
その本当の意味をわからずに喜んで母親にしゃべってしまう
その結果は両親の離婚、家庭は崩壊…

それはすべて順が「言葉で人を傷つけてしまった」せいだった
だから順は罰として「言葉を封印されてしま」ったのですとさ
そういうお話だということになっている


―ほんとうにそういう話なんだろうか?



この発端に関して
以前から疑問に思っていたこと
それは
“このとき順のしたことは「言葉で人を傷つけてしまった」事例にあたるのだろうか?”
ということ

順のおしゃべりは
言わないほうがいいことを不用意に口にしてしまったという意味では
(社会の常識的にいって)まずいことだったかもしれない
その結果とりかえしのつかないことにはなってしまった
余計なおしゃべりはもちろんよくない
でもそれは「言葉で人を傷つける」こととはびみょうに違う(気がする)
少なくとも順のおしゃべりに相手を傷つけようとする意志はなかった

それに対して
両親が(八つ当たり的に)順に投げつけた言葉には
あきらかに悪意や害意がふくまれている

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『順… それ以上… しゃべっちゃだめよ』
『それ、誰にもしゃべっちゃだめ』

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『もう二度と… しゃべっちゃ… だめ』

彼女(泉)もきっとダメージが大きかったのだろうけど
やさしかった母親の態度が急におかしくなって
とつぜん氷のような言葉をぶつけられた順の戸惑いはもっと大きい
「もう二度としゃべっちゃだめ」と言われて
その通り言うことをきいたから順はほんとうにしゃべらなくなってしまう 
このときの母親の“言葉”は
その後の順の心身を縛りつづける「呪いの言葉」みたいなものになった

父親はもっとひどい

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『お前は… ほんとにおしゃべりだな』

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『全部、お前のせいじゃないか』

「お前のせい」どころか全部あんたのせいでしょと言いたくなるが
このときの父親の言葉と表情は(理由はわからなくても)確実に順を傷つけて
後々まで消えないトラウマとして残ることになる
父親の“言葉”もまたその後の順の人生を呪縛しつづける呪いになった


以上のように考えれば
「言葉で人を傷つけた」のは順ではなくてむしろ両親のほう
順はどっちかというと傷つけられトラウマを植えつけられた被害者なのでないか
という気がしてしまう(以下略



順自身もこのとき
心のどこかで両親を呪ったとしても不思議ではないとおもう
「本当はぜんぶ自分たちが悪いくせに子どものせいにして責任押し付けて」
みたいに心のなかで思ったっておかしくない
でもそれを親にむかって言うことはできない
それを言えば自分は憎まれ愛してもらえなくなってしまう
子どもにとって親に愛してもらえないのがいちばんの恐怖
だから理不尽な両親にたいして怒りや悲しみをぶつけることは許されない
そのかわり自分がいけなかったことにして済むならそれでいい
自分が罰を受ければ許されるならむしろそうしたい
そんなわけで順はほんとうに叫びたい気もちを見なかったことにして
それを自責の念にすりかえて進んで罰を受けようとした
そこから「玉子の王子」が生まれる
(というか順が自分で作りだした)

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玉子に「お口をチャック」されて「おしゃべりを封印」されたという
自虐的なお伽話をかたって順は自分を騙そうとする
(母親の言うことをきいていい子になろうとしたに近い)
それによって何が抑圧(or 隠蔽)されたかといえば
自分を愛してくれなくなった母親
自分を捨てていってしまった父親
そんな間違った彼らにたいする呪詛の念
だったとおもう


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※先走って映画の後の方のシーンを見ると
ミュージカル本番前日の出来事~本番当日に順がばっくれる事件
のときも
発端の話(両親の離婚)とほぼ同じことがリピートされている感じがする
ほとんど同じ理由で順の前に「玉子の王子」が現われる
つまり順は本当の気もち(坂上や仁藤にたいする愛憎の感情)を封じて
それを自罰の意識に転化させるために「玉子の王子」を作りだしている
(このことはまた後で記す予定)


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※ラブホ部屋で順と坂上が口論するシーン
『玉子なんて最初からいないだろ!』
と言う坂上にたいして順は
『いないと、困るの!!』
『私のおしゃべりのせいじゃなかったら(略)なんのせいにすればいいのっ!?』
『おしゃべりのせいにしなきゃ、どうしていいのかわからない!』
という(けっこう衝撃的な?)発言をぶちかましている
というか全部ぶちまけちゃっている
ちゃんと自分でわかってるわけだ…



「言葉で人を傷つけてしまった」少女が
罰を受けて「言葉を封印されてしまう」というお話…

このお話というのは基本的に順が妄想のなかで
一種の自己欺瞞のために作りあげた主観的なストーリー
であって
映画「心が叫びたがってるんだ」の客観的なストーリー説明
にはなっていないのでは?
(でもそれが公式サイトのあらすじだったりする)

映画自体のストーリーをより客観的に?みるなら
成瀬順という女の子が幼いときに両親の離婚という不幸にあい
その際に母親と父親の「何気なく発した言葉」によって深く傷つけられ
大きくなってからもトラウマは解消されない
両親にかけられた「呪いの言葉」に彼女はずっと苦しみつづけている…

そんなような物語とおもったほうがまだ適切なのではという気がする
このあとの映画の展開はどうなっているか…


(つづく予定)





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